KAMATA

2014.12.22

ドイツ製の包丁は何故切れないの?

切れないのではありません。
切れるようにしていないのです。

昔、世界的に有名なドイツの
包丁メーカーの日本代理店に依頼されて
包丁の刃先の仕上げ直しをしていました。

もう一方のドイツのメーカーは
こんな切れ味では
日本市場では受け入れられないと忠告したのですが、
顔を剃る訳ではないので必要ないと
聞く耳を持ちませんでした。

日本はガラバゴス化した食文化で
こんなに繊細な料理を作る民族は世界的にも稀で
包丁に対する切れ味の要求が高いのです。

世界的には多民族の食文化があって
硬い物を乱暴に叩き切るような調理法をする人々が大勢いるわけで
その要求にも応える製品づくりをするには
切れ味を犠牲にしても
先ず刃が欠けないことが第一なのです。

切れる包丁というのは刃先が薄くできていますので
欠け易いというリスクがありますが、
刃先が厚い包丁は切れ味が悪いけれども
欠けにくいというメリットもあるのです。

欠けることは即、不良品と受け取られますので
世界市場を視野に入れて製品づくりをするメーカーでは
とりあえず欠けにくい包丁を作るのです。

今までの安い包丁の切れ味に不満を抱いて
当店に買い物にいらっしゃるお客様には
良い包丁ほど刃先を薄く仕上げてあり
良く切れるけれども欠け易さもあるので
「今までの切れない包丁は硬いもの用として使用してください。」と
お勧めしています。

お話を世界市場に戻すと
独自の食文化を形成してきた日本では
硬い鋼の包丁を丁寧に砥石で研いで
繊細な調理法で使いこなしてきたのです。

ところが、世界的に和食料理が普及して
それに伴って日本の料理人達が
日本の包丁を世界中に持ち出したことで
その切れ味が新しいスタンダードとなり
従来のドイツ製の包丁の切れ味に満足できなくなってしまい
日本の包丁が世界的な注目を浴びるようなったのです。

このような状況に対応するために
ドイツ最大の包丁メーカーは現在
その製品の80%を日本の工場で製造しています。

日本法人の社長が包丁オタクのせいもあって
今では、トップレベルの仕上げが施されています。

弊社に持ち込まれた珍しい木製ハンドル時代の
ヘンケルスPro Sの修理品の
刃元の出っ張りを修正しました。

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