2024.09.26
こんにちは。
今日は包丁の鋼材についてのお話をします。
格好良い包丁ですね。価格はなんと108,000円で、まさに超高級品です。
只、値段が高いのにはちゃんとした理由があるのです。
この包丁に使われている鋼材は今までになかった新鋼材なんです。
「武生特殊鋼材」が開発した新商品 「SPG STRIX」(ストリックス)です。
名前も格好良いですね。
粉末ハイス鋼の一種です。
粉末ハイスとは、炭化物を細かく均一に分散させる製法で作られた鋼材の一種です。これにより、切れ味の向上と持続性が高まります。
従来の代表的な鋼材で「SG2(スーパーゴールド)」や「ZDP」などが知られています。
「ステンレス」に該当しますので、鋼よりも錆に強く手入れもしやすいのが特徴です。
その中でもこのストリックスは、金属素地が硬く、ブレードが平均して硬質なため、炭素鋼(錆びる包丁)のような研ぎ易さと切れの良さを引き出すことが可能です。
実際に弊社の店頭に並んでいる包丁の刃付けを触ってみても、従来のステンレスより鋭い刃の立ち具合を感じ取ることができます。
包丁が良く切れ、長持ちし、研ぎ直しが容易で、さらに錆びにくいという特性を兼ね備えているのは非常に珍しいです。
高価な価格に見合う品質を備えた包丁であることは間違いありません。
また、弊社でご用意したストリックスは製造過程も素晴らしいものです。
大阪府堺市にあります。「中川打刃物」さんにお願いして作って頂いております。
中川さんは堺打ち刃物の代表的な伝統工芸士であり、腕利きの職人さんです。
若くて挑戦意欲もあるので、今回のような新しい鋼材にもチャレンジしてくれます。
堺特有の「鍛造」技術も駆使して作られた包丁は、硬いだけでなく「靭性」も含んでいます。
材料、工程共に妥協なく作られた逸品です。
弊社としてもこの「SPG STRIX」という素材を推して、広く刃物業界で認知されることを願っております。
優れた刃物を扱えることは、かまた刃研社にとっても喜ばしいことですね。
ではまた。
合羽橋 包丁専門店 かまた刃研社 四代目 鎌田陽介
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